「ビワ」の名は、楽器の琵琶に形が似ていることからつけられたというのが一般的です。ちなみに楽器の琵琶も、もともとは「枇杷」と書いたそうですが、琴の一種ということで「琵琶」になったそうです。
ビワの歴史
ビワの原産地は中国と日本南部で中国では古くから食用とされてました。
日本でも各地に小さなものが自生していたと考えられています。ただし、日本で自生していたものは小粒で商品価値が低く、当時は自家栽培のみしかありませんでした。
また、古くから日本には「びわを作ると早死にする」という迷信があったため、栽培が盛んにならなかったという背景があります。
その当時は、ビワが病人のいる家で薬の代わりに栽培されることが多かったのです。
これは、ビワに含まれる成分がいかに薬効性の高いものであるかの裏返しでもあります。
日本での栽培が盛んになったのは江戸時代からです。当時の果実は球形の小玉で、現在のような卵形で大玉のビワは、天保年間(1830年代)に中国から導入されました。
現在、日本・中国・北部インドを中心に作られていますが、18世紀にヨーロッパに伝えられ、今では地中海沿岸でも栽培されるようになっています。
ビワの旬の時期
露地栽培のビワの主な出荷時期は5月~6月です。
ビワの果実は、デリケートで荷傷みの原因になるため、収穫適期の判断は果皮色の変化により慎重に行われます。
ビワの代表的な品種を紹介
●茂木(もぎ)
日本で現在栽培されているビワの主力品種。
江戸時代の天保年間に中国から長崎に伝えられた唐ビワの実生から育成され、長崎県の茂木という地で主に栽培されたため、この名がついたとされています。
形は楕円形で果皮も果肉も橙黄色をしています。果皮はむきやすく、甘味は強く多汁で酸味はすくない品種です。
●田中(たなか)
明治12年(1879年)に田中博士が長崎から種を持ち帰り、関東で育成させた品種です。 形は丸みがあり、茂木よりも大粒なのが特徴で、果皮も果肉も橙黄色ですが、茂木に比べていくぶん薄い色をしています。 千葉県で栽培が盛んな品種です。
●長崎早生(ながさきわせ)
長崎県果樹試験場で、本田早生と茂木とを交配させて誕生した品種。誕生した県名により、長崎早生と命名されました。
形は茂木に似ていますが、茂木よりやや大きいのが特徴。果皮は橙黄色で、茂木よりやや赤みがあります。果肉も橙黄色で非常にやわらかく、早生種としては多汁で甘味も強い品種です。 ハウス栽培に対する適応に優れています。
●種無しビワってあるの!?
ビワには4個~7個の大粒の種が入っていて「種ばかりで食べる部分が少ない」と思われがちですが、千葉県の試験場では種無しビワの開発に成功したそうで、数年後には商品化されそうです。「種が大きくて食べにくい」というのがビワの難点だっただけに、種無しびわが出回れば人気を呼ぶかもしれません!?
おいしいビワの選び方
食べ方のポイント
食べる前2時間くらい前に冷蔵庫に入れておくと、より一層おいしく食べられます。また、皮をむく時はへその方がむきやすいです。
ビワの皮の特徴と注意点
ビワの皮は、他の果物と比べて非常に柔らかく、手で剥いて食べられるのが特徴です。 また、ビワは洗わずに、皮がついたままの状態で食べることもできます。 どうしても洗いたいときは、さっと洗うだけにとどめておいてください。
★ビワの皮を簡単に剥く方法
ビワの皮を剥くには「手で剥く」「包丁を使う」の2つの方法があります。それぞれの方法を解説します。
①手で剥く方法
ビワは、切り込みを入れれば手でそのまま剥いて食べることもできます。
1. ビワの下(お尻の部分)に切れ目を入れる
2. 上から下に向けて剥く
3. 中に入っている種に注意しながら食べる
②包丁を使う方法
包丁を使うと、手で剥くよりもっと簡単に皮が剥けます。包丁を使う場合は、怪我をしなように十分に注意しましょう。
1. ビワを半分にカットする
2. 中に入っている種をスプーンで取り出す
3. 皮を剥いて食べる
ビワにはどんな栄養があるの?
ビワには、体内でビタミンAに変化し強い抗酸化作用を持つβ-カロテンが多く含まれています。 また、ビタミンAは皮膚、のど、鼻、肺などの粘膜を正常に保つ働きがあるため、感染症予防や免疫力アップにも役立ちます。さらに、ビワの果実にはビタミンCが豊富に含まれています。
また、ビワの葉には、タンニンやビタミン様(よう)物質が含まれており、古くから民間療法として重宝されてきました。
ビワを使ったレシピ
レンジで簡単に作れるビワジャムや、暑い季節にピッタリのビワゼリー、ビワを使ったソフトクリーム等人気です。
ビワは暑さにも寒さにも弱いフルーツで、品質劣化のスピードが速いのが難点です。なるべく早く食べきるようにしたいものです。もし、冷蔵庫に入れるなら食べる前2~3時間前の短時間だけ冷やすようにしてください。また、ビワにはノドの渇きを癒す効果がありますので、ビワを2個ほど食べるとノドの渇きを潤してくれます。