梅干しや梅酒、梅シロップ等様々な料理に使用される梅ですが、梅には食欲増進効果や疲労回復効果があり、夏バテしやすい暑い季節にはぴったりです。
さらに梅は、梅干し・梅酒・梅ジャム・梅シロップ、梅ゼリーなどさまざまな用途に活用できるうえ、疲労回復や血流改善といった効果も期待されている優秀な果実で日本各地で栽培されています。
梅の歴史
梅の原産地や日本への伝来については諸説ありますが、原産地の中国から飛鳥時代に日本に伝わったという説が有力です。奈良時代に編集された万葉集には、梅の花を詠んだ歌も数多く収められています。
平安時代になると、梅を塩漬けした梅干し「白干し梅」が作られ始めました。
日本に現存する最古の医学書「医心方」の記載から、当時は薬として用いていたことがわかっています。
白干し梅は平安時代以降、室町時代や戦国時代にも重用され、武士たちの士気や食欲の増強に一役買っていました。
江戸時代には、梅と赤しそを一緒に漬ける「赤梅干し」が登場します。赤しそを加えることで風味が良くなるうえ、殺菌効果が向上すると考えられ、梅干しを食べる習慣が広まりました。
梅とは?
梅とは、バラ科サクラ属の落葉高木、及び果実を指します。リンゴやナシ、アンズなども同じ系列の果樹です。
梅には観賞用の樹木と食用の果実がなる樹木で、異なる名称がついています。
観賞用は「花梅(ハナウメ)」、食用は「実梅(ミウメ)」です。
梅の旬は5月~7月です。梅は毛の生えた果皮の下に果肉があり、中央には楕円型の種子が入っています。種子に入っている中身は「核」や「仁」と呼ばれます。
実をおいしく食べられるだけでなく、きれいな花を観賞することもできるなど、梅はさまざまな方法で楽しめるのが魅力です。梅干しや梅酒など日本人の生活に古くから密接に関わっている植物です。
桜と同じく春先の名物で、季節の訪れを感じさせてくれる梅ですが毎年、旬の梅を使って梅干しや梅酒を作っている人も多いでしょう。
春先に作った梅酒や梅ジュースは、まさに今の暑い時期にピッタリの飲み物です。
梅の主な品種
南高梅
温暖な気候に恵まれた和歌山県は、国産梅の6割以上を栽培している日本最大の産地になります。南高梅は、和歌山県を代表する品種として広く知られていて、和歌山県内における南高梅の主な産地は、太平洋に面した紀州地域のみなべ町や田辺市です。
南高梅は、実が完熟して木から自然に落ちてから収穫するため、柔らかく肉厚で、香りが良いという特徴があります。
梅干しや梅酒、梅スイーツや梅エキスなど、南高梅の加工品は多彩です。
鶯宿梅
鶯宿梅は全国で栽培されている品種ですが、出荷量が最も多い県が徳島県です。鶯宿梅は在来種とされる品種ですが徳島県内では、吉川市美郷地区や神山町などが鶯宿梅の産地として知られています。
硬い肉質と強い酸味が特徴的で、梅酒用としても人気があります。そのため、まだ皮が緑色の状態の青梅として出荷されることが一般的です。
梅干しにする場合は、カリカリとした食感を楽しめます。
白加賀梅
白加賀梅は群馬県が主な産地として知られています。群馬県は梅の出荷量が全国で2番目に多く、高崎市の榛名地区・箕郷地区は東日本一の産地です。白加賀梅も榛名地区などで多く栽培されています。白加賀梅は梅酒と梅干し、どちらの加工方法にも適した梅です。梅酒に適したしっかりとした果肉と、梅干しに適した肉厚さの両方を持ち合わせているため、梅酒にも梅干しにも重用されています。
ただし、使用する梅の熟度は異なり、梅酒にする場合は青梅を、梅干しにする場合は熟した白加賀梅を使うことが一般的です。
竜峡小梅
竜峡小梅は長野県で栽培されている小梅の大半を占めています。竜峡小梅とは、下伊那地方を流れる天竜川の渓谷「天竜峡」に由来する名前です。
竜峡小梅は、小梅ながら種が小さいため肉厚で果肉もしっかりと硬いため、梅漬けにするとカリカリの食感を楽しむことができます。
甲州小梅
果物の一大生産県として知られる山梨県のきれいな水や土壌や、一日の寒暖差が激しい盆地の特性が小梅の栽培に生かされています。
甲州小梅は「甲州最小」とも呼ばれ、数ある小梅の品種の中で最も小さいと言われている梅です。小粒ではあるものの、種が小さく果肉が厚いため、食べごたえは充分にあります。
甲州小梅は梅漬けや梅干しに使われることが多く、未熟果の青梅は塩と赤しそで漬けるカリカリ梅に、完熟した梅は梅干しに向いています。産地の山梨県では梅ジャムや梅酒、ワインなどへの加工も盛んになっています。
梅の効能
梅には身体に必要なミネラルが豊富に含まれています。梅のミネラル含有量はミカンやリンゴ、ブドウよりも多く、なんとカルシウムはリンゴの4倍、鉄は6倍も多く含まれています。また、梅のクエン酸は、新陳代謝を促し体内の老廃物の排出を促進してくれます。これにより、むくみの解消、美肌や老化防止なども期待できます。
1.疲労回復効果があり老廃物が溜まるのを抑える
2.梅はカルシウムや鉄の吸収を促す
3.肝機能を強化し血流を改善
梅を使ったレシピの紹介
お子様やお酒が飲めない人も、梅ジュースの作り方
【材料】
・青梅1kg
・氷砂糖800g
【作り方】
1.青梅をよく洗い、2時間ほど水に浸けておく。
2.青梅の水気をふき取りヘタを取り、袋に入れて冷凍庫で一晩凍らせる
3.煮沸消毒した保存瓶に梅、氷砂糖を交互に入れ常温で保存
4.1週間ほどで完成。炭酸水や水などで割って飲めます
梅酒や梅ジュースの梅で作れる梅ジャムの作り方
梅酒や梅ジュースを作った際、漬けていた梅はどうしていますか?
その梅を活用できる梅ジャムです。
【材料】
・漬けていた梅1kg
・砂糖200~500g
【作り方】
1.鍋に梅と梅がかぶるくらいの水を入れ、1,2分沸騰させる
2.一度ざるにあげ、再度実が柔らかくなるまで煮る
3.梅をざるにあげ、スプーンなどで種を取り除く
4.鍋に砂糖、梅を入れ、弱火で煮込み練り上げて完成
浸けておくだけ、梅酒の作り方
【材料】
・青梅1kg
・氷砂糖700g
・ホワイトリカー(焼酎)1.8L
【作り方】
1.青梅をよく洗い、2時間ほど水にさらしておく
2.水気を布巾でふき取り、竹串を使ってヘタをとる
3.熱湯消毒した広口瓶に梅→氷砂糖→梅と交互に入れ、最後にホワイトリカーを入れる
4.蓋をして、冷暗所で保存する(3か月ほどで飲めるようになる)
梅の花見を楽しんだ後は、梅酒や梅ジャムなどで梅の実も楽しめば梅を余すことなく楽しめるようになります。花時期や収穫時期を知って梅をより楽しみましょう。