クスノキ科ワニナシ属の果物に分類される、アボカドは「世界一栄養価の高いフルーツ」として、ギネスブックにも認定されているほどです。
日本に輸入しているアボカドのほとんどがメキシコ産で9割を占めます。特徴は、卵形で果皮がザラザラとしていて果皮の色が未熟なときは緑、熟すと黒っぽくなります。果肉は薄緑色で脂肪分をたっぷり含んでおり、コクがありネットリとした味わいです。最近では健康志向の高まりからスーパーフードのひとつとしても人気があります。

アボカドの歴史
アボカドは、記録があるのは13世紀頃で、当時のインカ王の墓からアボカドの種が出土しているようです。16世紀頃にアメリカに伝わり、さらにヨーロッパやオーストラリアなどにも伝わりました。日本に入ってきたのは100年ほど前のことです。
なお「アボガド」と発音しがちですが、正確な名称は「アボカド」です。ちなみにアボカドの英名には「alligator pear(ワニの梨)」という別名があり、それを訳して和名では「ワニナシ」とも言います。

アボカドの旬はいつ?
一年中スーパーなどで見かけますが、最も美味しく食べられる時期はいつなのでしょうか?
輸入品と国産品それぞれの旬をご紹介。
●輸入品では
一般的に流通しているアボカドはメキシコ産です。メキシコでは年に4回収穫できるため、一年中流通していますが、特に美味しくなるアボカドの旬といえるのは3~6月頃です。この時期のアボカドは、脂肪分が多くなり濃厚でクリーミーな味わいです。
一方、8~11月頃は脂肪分が少なくサイズも小さめになりますがこの時期のものは、あっさりしたアボカドが好みの人に向いています。

●国産品では
日本産のアボカドは夏に実がつき秋以降に収穫されるため、旬は10月下旬~1月頃になります。秋頃の昼夜の寒暖差でたっぷりと脂肪分を蓄えた美味しいアボカドが育ちます。
国産のアボカドの収穫量のうち最も多いのは和歌山県で、2位は愛媛県、3位は鹿児島県です。

食べ頃のアボカドは?
皮の色でわかります!
アボカドは収穫されたあとも熟成が進み、美味しくなる果物です。その成熟具合は皮の色でわかります。
まだ熟していないときは、皮が鮮やかな緑色で果実が硬く美味しく食べられません。それを常温で1~4日置くと、熟成が少し進み深緑色の斑点が出てきます。この段階ではほぼ熟成しているため食べられますが、もっと柔らかく熟しきったアボカドがお好みの場合は、さらに常温で2~3日置いて、皮の色が全体的に黒みを帯びてきてから食べると良いです。

アボカドの種類
アボカドには種類があります。一般に流通しているものは「ハス」という品種になります。「ベーコン」「ピンカートン」「フェルテ」といった熟成が進んでも鮮やかな緑色のままの品種もあります。ただ国内ではあまり流通していません。
アボカドの見分け方は?

①色味をチェック!
皮の色が黒っぽい深緑色で、ハリとツヤがあるものを選ぶと良いです。
緑色か黒っぽい深緑色のうちどの色を選ぶかは、購入後いつ食べるかによって決めてください。
すぐ食べたい場合は、全体が黒みを帯びて深緑色に変わっているもの、2~3日後に食べたい場合は、深緑色の斑点ができているものです。
②ヘタの辺りを見てみる!
ヘタの周辺にカビが生えているような場合もありますので注意してください。またヘタがないものや、ヘタがついていても、ヘタと皮の間に隙間がある場合は、熟成が進み過ぎ食べ頃でなくなっている可能性があります。隙間のないものを選ぶのがおすすめです。
また、ヘタに触るとポロッと取れる、ヘタ辺りの皮が少しへこむ感触がある、などの状態が表れたら完熟して食べ頃になった証拠でもあります。
③弾力!
アボカドは、弾力で熟成具合を知ることができます。丸ごとのアボカドを親指で優しく押して弾力を感じてみてください。この確認方法は店頭の商品では試さず、購入後に自宅で食べ頃を知るために使ってください。

食べ頃を過ぎてしまった場合は?
◎ある程度の変色なら食べられます!
アボカドは、りんご・バナナなどと同じように変色しやすい果物の1つです。
アボカドにはポリフェノールオキシターゼという酵素が含まれいてその酵素が、熟し過ぎる、低温障害が起こる、空気に触れるなどで酸化し、メラニン色素が作られることで茶色や黒色に変色するのです。
アボカドを切ったとき、果肉がきれいな黄緑色で部分的に茶色や黒色の筋や斑点がある場合は、ポリフェノールオキシターゼの酸化によるメラニン色素が原因ですので、この茶色や黒色に変色した部分を食べても特に問題はありません。
◎裏ごしするのもおすすめです!
酸化で変色した部分は食べても問題ありませんが、酸化した筋が硬くなりアボカドの魅力であるクリーミーさが損なわれてしまうことがあります。その対策として、アボカドを裏ごしするのがおすすめです。そうすると、アボカドらしい滑らかさを楽しめるだけでなく、変色も気にならなくなります。
しかし、熟成が一層進み食べ頃を過ぎてしまうと、さらに水分が抜けてヘタが陥没することもありますので、食べ頃を逃さないよう早めに食べてください。
アボカドの保存方法
店舗で見かけるアボカドは緑色をしていることが多々あり、これらはまだ熟していませんので自宅で保存する場合は、常温保存で大丈夫です。常温保存をしながら追熟させ、食べごろになるまで待ってください。温度が低いと追熟しないので、追熟させるには室温は15度以上に設定するのが最適です。
また、夏場は追熟が加速しやすく腐りやすくなるので要注意です。熟した状態で常温保存をすると傷みが加速するので、その後は野菜室で保管します。冷蔵庫だと温度が低すぎるため、それより少し温度が高い野菜室で保存することが推奨されています。

アボカドの栄養と効能
「森のバター」とも呼ばれるアボカドは、年々人気が高まり、栄養上の利点がたくさんあります。
カリウム、ビタミンE、ビタミンB6、葉酸、 脂肪酸総量、食物繊維など栄養素が豊富に含まれています。

●期待される効能
アボカドは非常に栄養価の高い果物で、ビタミンEを筆頭に、各種ビタミン、鉄やリンなどのミネラルも豊富に含んでいるので、がんや動脈硬化の予防、老化抑制などに効果があるといわれています。また、体内の余分なナトリウムを排泄してくれるカリウムも多いので、高血圧予防や脳梗塞予防、心筋梗塞予防などにも期待されています。

スーパーフードと呼ばれるアボカドは、栄養価が高くヘルシーな果実として人気です。脂肪分は多いですが、この脂肪分は血液をサラサラにしたり、コレステロールを減らす作用がある不和脂肪酸が主体なので健康的です。まったりとした口当たりの果肉は甘味がほとんどなく、サラダやハンバーガーなどにも利用され、わさび醤油をつけると「トロ」のような味がするというのも有名です。また、醤油やマヨネーズ、オリーブオイルなどいろいろな調味料とも相性が合いますので様々な料理に使えます。アボカドの美味しさを堪能しよう!


